子どもに届けたい今日のひとこと

「むずかしいのは続けること」「やってみたこと、ためしたことが財産」など、
担任として、校長として子どもたちとのふれあいのなかで
学校生活から拾いあげたちょっといい話。
通信のネタ探しのヒントにもなります。

<ご利用にあたって>
以下の文章を通信に引用される場合は、文末にある出典(書名・著者名・出版社名)を明記して下さい。


対象学校だより・校長室だより

なぜ学ぶのか

川崎 知己(千葉商科大学准教授)

 唐突ですが、虹は何色(なんしょく)でできていますか?(中略)たぶん、ほとんどの人が七色(ななしょく)と答えるのではないでしょうか。(中略)
 虹は七色であるというのは、自分の目で見た実体験からではなく、学校や絵本などを通して、知識として「赤橙黄緑青藍紫」と覚えただけでしょう?

 この世に色はあふれています。色そのものは多彩であり、無限に存在しますが、その全てに名前はつけられていません。世界の中には文化によって、色を表す言葉が二つ三つしか存在していない文化もあります。名前のついていない色は、概念上、存在しません。存在しない色は数えられないので、文化によって虹は五色だったり三色だったり、時には二色だったりもするのです。

 色に名前がついているから、そして、色の名前を知っているから、私たちは、色の違いを違いとして認識できるのだと思います。  つまり、学ぶということ、知識を得るということは、知らなければ知らないで、そのまま通り過ぎる物事を、より繊細に、より正確に、より深く見つめるために役立つ行為です。その知識がなくても、生きていけることは確かにある。しかし、より深く物事を見つめ、より味わい深く人生を生きるために、学びと知識はあるのではないかと思っています。

(『月刊プリンシパル』2017年11月号「子どもに語る例話」/学事出版より)


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