偉人・達人が残したもの

キャリア・デザイン、キャリア・カウンセリングという言葉にふれる機会が多くなりました。夢をもてなくなり、将来的な職業観や仕事に対するイメージが描けない子どもたちが増えているからでしょうか。人生の3分の1の時間を費やす仕事に向き合うことで、偉人・達人といわれる人々は、何を学び、どんなことを教訓として得たのか。子どもたちに職業のプロ、人生のプロがつかんだ生きることのすばらしさをメッセージとして贈るときに参考になります。 

<ご利用にあたって>
以下の文章を通信に引用される場合は、文末にある出典(書名・著者名・出版社名)を明記して下さい。


対象学校だより・学級通信・学年通信

「半世紀も歌ってきて飽きませんか」とあきれられることもあるけれど、
毎日歌っても飽きることはない。
自分はもっとうまくなるんじゃないかとひそかに期待していたりする。
(「日本経済新聞」2017.7.7)

森山 良子 さん(歌手)

ジャズトランペッターの父と、元ジャズシンガーの母との間に生まれた森山は、早くから音楽が産湯であったり、ゆりかごであったりの環境の中で育った。
そのためか、小学校を卒業する時、「早く歌い手になりたい」と両親に打ち明けたという。それを聞いた両親は驚いた。そしてぴしゃりと、こう言った、「高校を卒業するまで仕事をしてはいけません。それまではクラシックの声楽をしっかり学びなさい」と。その言葉に愛情がこもっていると感じた森山は反抗しなかった。(中略)

 両親の愛情は子どもの心に素直さを生む。従った森山には早くもチャンスが訪れた。19歳の春にプロ歌手としてのデビューが叶った」のだ。教科書にも載っている「あの広い野原いっぱい」がそれ。全国に森山の心のこもった歌声が響いた。その後も様々な話題曲を世に送っている。

 昨年でデビュー50周年を迎えた。その道のりを支えたものは、まだ上手になるのではないかという自分への飽くなき期待と自信、これもすべて素直に対してきた心のなせる業だろう。

(『月刊プリンシパル』2017年9月号、講話に生かせる現代の名言66(五嶋靖弘)/ 学事出版より)


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