偉人・達人が残したもの

キャリア・デザイン、キャリア・カウンセリングという言葉にふれる機会が多くなりました。夢をもてなくなり、将来的な職業観や仕事に対するイメージが描けない子どもたちが増えているからでしょうか。人生の3分の1の時間を費やす仕事に向き合うことで、偉人・達人といわれる人々は、何を学び、どんなことを教訓として得たのか。子どもたちに職業のプロ、人生のプロがつかんだ生きることのすばらしさをメッセージとして贈るときに参考になります。 

<ご利用にあたって>
以下の文章を通信に引用される場合は、文末にある出典(書名・著者名・出版社名)を明記して下さい。


対象学校だより・学級通信・進路通信

今を変えないかぎり、未来は変わらない。
先を見ずに一日一日、一瞬一瞬をしっかり積み重ね、
この4年間の「現在」を変えたのが、南アフリカ戦です。
(「朝日新聞」2015.12.3)

五郎丸 歩さん(ラグビー選手)

 言うまでもなく五郎丸選手は、ラグビーで2015年の日本中を熱くした時の人だ。彼をこのようにしたのには、標記の言葉の前半「今を変えないかぎり、未来は変わらない」に秘密がある。

 実はこの言葉は、彼を指導していた元のヘッドコーチ、J・カーワン氏が五郎丸選手に与えたもの。一対一のミーティングの時、日々に緊張感のない彼に、唯一確かな「現在」に集中することがすべてだという考え方を植え付けたかった。指導の過程で、コーチは彼に訊いた。「未来は変えられるか」と。それに対して彼は「イエス」と答えた。その甘さに対しての力一杯のキックであったといっていい。

 25歳の時、W杯2011年大会に向けての合宿に招集されたものの、日本代表の選に漏れた。彼はそれを自分のパフォーマンスのせいにして、納得していた。しかし、それから2015年のイングランド大会の代表に選ばれるまでの4年間にコーチの真意に気づいた。これはテクニック上の問題ではなく、ラグビーに対する打ち込み方・考え方の問題であると。

 彼は変わった。「目の前のことを100%やりきるだけが未来を変える方法だ」と認識したのだ。世界一きつい練習にも耐え抜いた。それが今まで勝ち星のないW杯で、世界3位の南アフリカを逆転で下すという「史上最大の番狂わせ」を演じさせたのだ。すべては現在にある。

(『月刊プリンシパル』2016年2月号/ 学事出版より)


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