ブックタイトル季刊理想 Vol.127

ページ
13/24

このページは 季刊理想 Vol.127 の電子ブックに掲載されている13ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

季刊理想 Vol.127

学校と法律<第39回>弁護士神谷信行著作権教育について思うこと●かみやのぶゆき1983年弁護士登録。社団法人著作権情報センター主催「市民のための著作権セミナー」の講師担当。『知って活かそう!著作権』『編曲家の権利』など著書多数。教室での他人の著作物の複製や引用、文化祭での音楽の演奏など、学校の先生は著作権と切り離せない生活を、日々、送っていますが、●かみやのぶゆき著作物を尊重することは、なぜ重要なのでしょうか。1983年弁護士登録。社団法人著作権情報センター主催「市民のための著作権セミナー」の講師担不可欠な小中校での著作権教育当。『知って活かそう!著作権』『編曲家の権利』など著書多数。昨年末、ある音楽大学に招かれ、著作権教育等についてのパネラーとしてコメントをする機会がありままた、小学2年生が書いた絵日記をスライドで映写した。他のパネリストは、大学で著作権教育をされし、児童生徒も著作権者となるのであり、学校は著ている方、著作権管理団体の方、司会は音楽大学の作物の宝庫に他ならず、子どもたちの著作者人格権、副学長をされている方でした。そこでやりとりされた著作財産権についての配慮が必要不可欠であること内容は、教育現場で児童生徒の指導をされる方々にを述べました。そして子どもの作品は、大人からみても役にたつと思われますので、話題となった点の概いかに未熟に見えても、その子にとってはかけがえの略を報告したいと思います。ない「人間の尊厳」の発露なのであり、子どもの権利小中高の学校教育において著作権教育を行うべきはまず身近な作文や絵などについて守られなくてはなことはかなり前から唱えられ、音楽や美術の学習指らないことを述べました。著作物は人間の尊厳の発露「著作物は人間の尊厳の発露である」ということについて思い返されるのは、昨年末に著作権が消滅した元死刑囚島秋人とその師窪田空穂のことです。島秋人は強盗殺人を犯して死刑判決を受けましたが、その後、中学時代の担任教師から短歌の本の差し入れを受け、雑誌や新聞に投稿するようになりました。こうして毎日歌壇の選者である窪田空穂の指導を受けるようになり、「囚人」の音を写した秋人の号を名乗って短歌の中で犯した罪と向き合い続け、次の辞世の作を残しました(『遺愛集』より)。「この澄めるこころ在るとは識らず来て刑死の明日に迫る夜温し」短歌を詠む営みは、島秋人にとって他者の尊厳を奪い去った自分を見つめる償いの行であり、それを読む師にとっては、奪われた生命の尊厳と償いの歌を吐き続ける死刑囚の尊厳を二つながら受け止める行であったのです。この師弟二人の著作権は、奇しくも同じ昨年末に消滅しました。一つの著作とその著作財産権消滅にこのようなドラマが潜んでいることを知ることも、著作権教育の一コマであると思います。導要領に指針が盛り込まれています。しかし、教職志望者のための著作権教育はいまだ広まっておらず、教員養成大学において著作権法を必修としているところは、山口大学など極めて少数であるのが現状です。これに関してフロアから、教員に対する著作権研修が行われているかとの質問がありました。筆者の体験では、かつて大阪市の教育委員会が新任教員研修の中に、著作権教育の講座を取り入れたことがありました。これは60分の講義を2講座受講するもので、前半が制度の説明、後半は教育現場で生じる具体的問題をQ&Aの形でともに考えるというカリキュラムでした。学校は著作物の宝庫この講座は、私的録音録画補償金制度によって集められた原資の助成をうけた、当時の社団法人著作権情報センターの協力によって実施され、数年続けられました。この時私は後半のQ&A講座を担当しましたが、教育現場において複製が許される範囲とその条件、許諾なくして引用できる場合の条件、文化祭での音楽の演奏と許諾の要否など、身近な設例をとりあげ、教師は著作権と切り離せない生活を日々することになると話しました。12◆季刊理想2018春号