ブックタイトル季刊理想 Vol.126

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概要

季刊理想 Vol.126

広島市立五日市南中学校子どもたちが自ら学級づくりに参画する、新たな学級経営システム「学級力向上プロジェクト」(開発者:早稲田大学教職大学院教授田中博之先生)。いじめがない、安心できる学級づくりに向けて、同プロジェクトを実践する学校も増えています。今回は8年前に取り組みをスタートさせた福岡市立原西小学校の取り組みをご紹介します。落ち着いた学級環境を目指して福岡市立原西小学校が学級力向上プロジェクトを導入したのは平成22年度のこと。「学力向上を実現するためには、落ち着いた学級環境が不可欠」という当時の学校長の思いが、その背景にありました。当初は「子どもたちが安心して勉強できない、協力し合えない、先生に対する信頼感もない」という状態が続いていたとのことですが、実践を重ねるうちに、そうした状況も大きく改善。子どもたちの学習に向かう姿勢も、見違えるように良くなったといいます。以来、同校での取り組みは7年余に及びます。2年前に同校に赴任した豊田健一校長先生は同プロジェクトについて、次のように語ります。「学級力向上プロジェクトは、子どもたちが主役になって、自分たちで学級づくり、集団づくりを進める取り組み。しかも、具体的な方策がしっかりしているので、実効性も高い。そうしたメリットがあるために、当校では多くの教職員が主体的に取り組んできました。この流れを止めることなく、継続的に進めていくことが大事だと思っています」活動をマンネリ化させない継続的な推進に向けて、同校では現在、「学級力向上」を学校として重点的に取り組む学習テーマ(テーマ研究)の1つに位置付け、学校全体で取り組む体制を整えています。その中心にいるのが、テーマ研究主任を務める塩田健吾先生です。学年ごとに配置された推進委員と連携し、同プロジェクトを活用した授業研究の支援に取り組むとともに、受け持ちのクラス(6年生)でも実践を重ねています。「私が特に留意しているのは、活動をマンネリ化させないこと。毎年同じような取り組みを繰り返していると、子どもたちの意欲が減退してしまいます」(塩田先生)その観点から、塩田先生が昨年度から進めているのが、学校行事と併せてプロジェクトを実践することだといいます。「運動会や修学旅行などの行事は、子どもたちにとって大事なイベント。必ずしもクラスの課題と関連していなくても、行事を一つの目標や節目に位置付けることで、子どもたちのやる気が高まるのです」(塩田先生)成功体験が自尊感情の育成につながる具体的な取り組み期間は、子どもたちの集中具合も考えて、約1カ月間。行事の1カ月前に学級力アンケートを行い、数値が低い項目の改善に向けて、話し合いを実施し、具体的な解決策や行動方針が決まったら、行事までひたすらそれに取り組みます。そして、行事後にもう一度アンケート調査を行い、数値が上がったかどうかをチェックします。子どもたちのモチベーションを維持するためにも、「帰りの会」を利用して、独自につくった「成長評価表」を基に、班で日々の行動を振り返るほか、タイミングを見計らって、塩田先生自身が適切な声学校全体で取り組む長期実践校子どもの意欲を高める工夫で大きな成果塩田健吾先生豊田健一校長先生福岡市立原西小学校季刊理想2017冬号◆15