ブックタイトル季刊理想 Vol.125
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季刊理想 Vol.125
ていますね。金田一 子どもの語彙力が少ないのは親御さんにも原因があります。つまり、親御さんの語彙が少ないということです。これは先生方にも言えるかもしれません。先生方の語彙を増やすためには本を読むしかありません。漢文も有効だし、芥川龍之介などの昔の小説家は、複合語を巧みに使っていて、参考になると思います。森山 そうですね。漢語もありますから「読む」ことは本当に大事です。また、子どもにとっては、テレビなど耳から語彙を広げることも意外に重要だと思います。使い方も意識してほしいですね。放っておいたら、子どもたちが習得しにくい言葉もたくさんあります。言葉に触れ、言葉を意識する機会を大切にする指導を行っていく必要があります。語彙が子どもたちの思考力を伸ばす金田一 語彙力には「量」と「質」の二つの側面があります。詩人の谷川俊太郎さんは、質が大事とおっしゃいます。表現者ですから当然です。しかし、僕らは解釈し、理解する側ですから、量も大切です。1万画素のカメラよりも3万画素のカメラの方が精密に世界を写し取るのと同様に、語彙も多ければ多いほど、理解が深まります。森山 質も大事ですね。思いにぴったりの言葉を探したり、表現のよさに気づいたりできるようにしてほしいです。それには「違い」に気を付けることもいいトレーニングになります。例えば、「苦しい」と「辛い」の違いは何かなど、辞典を見たり自分で考えたりするといいでしょう。また、語彙を豊かにすることで、考え方や知識を位置づけることもできます。金田一 国語力には読み、書き、話す、聞くの4つの機能があるといいますが、私は国語力で最も大切な部分は「思考力」だと思います。これと大いに関係しているのが語彙です。つまり、語彙が増えて物事を言葉に置き換える力がつくと、世の中を観察して、細かく理解できるようになる。それが思考する土台になります。森山 言語化するという点で、私は指導者にとって大切なのは「疑問文」だと思っています。やがて子どもたち自身が疑問文を作れるようにもしたいです。自由に言葉ノートを活用してほしい矢吹 そうした点を踏まえて、言葉ノートをどのように活用すべきでしょうか。森山 活用の仕方は自由であっていいと思います。言葉は放っておいたら素通りしてしまいますので、それを調べて書くことで定着を図る。さらに、「この言葉は面白い」「どう書右から森山卓郎先生、金田一秀穂先生、矢吹正徳編集局長??理想教育財団が発行する、『私の見つけた「言葉ノート」』。発達段階等に合わせて入門編、発展編、中学校版A・Bを用意。言葉や出典、意味、気になったことをノートに書き入れていく。ミニフォーラムくのかな」という思いを持ちながら、自分なりに言葉を集めること自体が主体的な学びでもあると思います。 もう一つ大事なことは交流することです。自分が新しいと思った言葉は、友だちも新しいと思うかもしれない。仲間同士で学びの交流ができたら、より効果的だと思います。金田一 日本語が粗雑に扱われる傾向があります。言葉ノートを活用して言葉を覚えたら、今度はそれをどう磨くかを考えてほしい。それが言葉の質を高めることにつながります。8 ◆ 季刊理想 2017 秋号