ブックタイトル季刊理想 Vol.125
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季刊理想 Vol.125
第 7 回 理想教育財団教育フォーラム人間は人間によって人間になる 集団活動は諸刃の剣です。これまでの特別活動の目標には「望ましい集団活動を通して」とありました。それは個が埋没、否定、攻撃されず、個が生かされる集団活動でなければいけないということです。中学校の合唱コンクールで一番を目指しても、学級がバラバラになってしまったら意味はないのです。 学級目標に関しても、先に集団としての目標を決めてしまうと、後になって「僕はできたけど、あの人はできなかった」と他者批判につながりがちです。まず、個人としてなりたい自分の姿、目標各教科で身に付けた資質・能力を実践的に活用 これからの時代は少子高齢化やグローバル化がますます進展し、50年後の生産年齢人口は今の半分程度になると予測されています。同時にAIも著しく発達し、求められる人材が変化することは確実です。その観点から、次期学習指導要領では、教育課程の理念として、「社会に開かれた教育課程」という考え方や「育成すべき資質・能力」「主体的・対話的で深い学びの実現」「カリキュラム・マネジメント」などについての基本的な考え方などが示されました。 特別活動における学習指導要領改訂のポイント特別講演『学習指導要領改訂の要点―特別活動への期待―』講師 文部科学省初等中等教育局 教科調査官 (特別活動) 安部 恭子先生 を見てみましょう。育成すべき資質・能力については、「人間関係形成」「社会参画」「自己実現」という三つの視点を手掛かりとしながら「知識及び技能」「思考力、判断力、表現力等」「学びに向かう力、人間性等」の三つの柱に沿って整理を行いました。 特別活動における「主体的・対話的で深い学びの実現」の中で、最も大切な「深い学び」については、「課題の設定から振り返りまでの一連の過程を『実践』ととらえ、基本的な学習過程を繰り返す中で、各教科等で身に付けた資質・能力を、集団及び自己の問題の解決のために総合的に活用する」ことを示しました。特別活動と各教科等との学びは往還の関係にあり、各教科等の主体的・対話的で深い学びの実現には特別活動の充実が欠かせないのです。特別活動は来年度から先行実施 特別活動の目標については、「様々な集団活動に自主的、実践的に取り組み、互いのよさや可能性を発揮しながら集団や自己の生活上の課題を解決する」と、具体的に示しました。また、小学校と中学校の目標に違いはほとんどありません。小学校の学びをしっかり中学校に生かす。そして高等学校につなげていくという系統性を大事にしたからです。 学級経営の充実に関しては、小学校だけでなく、教科担任制である中学校においても、「学級活動における児童(生徒)の自発的、自治的な活動を中心として、学級経営の充実を図ること」が示されました。子どもたちが自ら学級・学校生活を見つめ、課題に気付き、その解決方法等を話し合って合意形成し、主体的に取り組むことが、自己有用感を育み、自治的能力や主権者として積極的に社会参画する力の育成につながります。そして、信頼関係に基づく、互いを尊重し合う学級や、学びに向かう学習集団の形成につながるのです。 特別活動は来年度から先行実施です。今回の改訂で期待されたことを実現するためにも、学校全体で研修を行うなど、共通理解を図って推進していただきたいと思います。を決める。それを全部並べて、いくつかに分類整理してまとめたものを学級目標に据える。ほかの子どもと比較せずに、個人として目標にどれだけ近づいたかを自分で確認すればいいのです。 人の間と書いて「人間」と読みます。人間は、独りでは生きていけません。教育は、人間と人間との関係の上に成り立ちます。なぜ学校はできる子もできない子も同じ教室の中で学ばせているのか。なぜ人は人を教えているのか。それは人間は人間によって人間になるからです。そのことの意味をよく認識してもらいたいと思います。4 ◆ 季刊理想 2017 秋号