ブックタイトル季刊理想 Vol.117

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概要

季刊理想 Vol.117

「はがき新聞」満足度調査結果報告学習者の満足度に関係する要因 まず、「はがき新聞」についての総合的な満足度(以下「総合満足度」)を測定するために、項目選定のための予備調査を小学校で行いました。その結果を参照しながら、「やる気が出る」「書く文章の量がちょうどいい」など、「総合満足度」に関わる要素を10個の項目にわたって選定しました。 第一調査では、選定した「総合満足度」の項目について5件法で調査をお願いしました。得点が高いことが「総合満足度」の高さを示すように得点を算出し、「はがき新聞」についての総合的な満足度(総合満足度)を明らかにしました。そして、因子分析によって、「総合満足度」に関係する要素(因子)を検討しました。その結果、「意欲」と「スキル」の因子を抽出することができました。具体的な内容は以下の通りです(表1)。 第二調査として調査人数を大幅に増やし、調査学年別に、「意欲」と「スキル」の因子ごと、及び「総合満足度」について得点結果を整理しました(表2)。 全体として意欲面での満足度よりも、スキル面での満足度がやや高いことから、はがき新聞に取り組むことは単に意欲を高めるというだけではなく、スキルとして力がつくという認識があることは、注目されます。学年別にみると、下の学年の方が全体的に満足が大きいという傾向が観察されます。・はがき新聞は、やる気が出る。・はがき新聞に、満足している。・はがき新聞は、取りかかりやすい。・はがき新聞は、書く文章の量がちょうどいい。・はがき新聞を使うと、自分の意見を分かりやすく伝えられる。・はがき新聞は、文章をまとめて書く力が付く。・はがき新聞を読むと、友達の考えが分かってよい。・はがき新聞のレイアウトを工夫するのが楽しい。・はがき新聞で見出しを作るとき、内容との関係を考えている。・はがき新聞に書くときは、なるべく漢字をたくさん使うようにしている。意欲に関わる項目スキルに関わる項目表2.全調査校での学年別総合満足度表1.「はがき新聞」満足度に影響を与える要因学校種小学校3年4年5年6年中学校中1中2中3全体意 欲3.594.203.893.533.303.203.493.193.123.47スキル3.794.224.033.743.563.493.803.373.473.70総合満足度3.714.213.973.663.463.373.673.303.333.61 当財団では委託研究として『コンパクトテクストによる文章表現育成の研究―「言語活動の充実」へ向けての「はがき新聞」等の利用について―』(研究代表者 早稲田大学文学学術院教授 森山卓郎先生)を行い、平成27年4月「研究報告書」を発刊しました。その中で、当財団が支援している教育現場での「はがき新聞」の実践で、子どもたち自身がどのように感じているのかを明らかにするため、「はがき新聞」満足度調査の結果を報告しました。具体的にどんな点に満足感を得ているか、学年などで違いはあるか、原稿用紙と「はがき新聞」との比較はどうかなどの調査も行いました。以下、その調査結果とそれを踏まえた今後の対策などについてお伝えします。調査概要①調査協力校 調査項目選定・整理のための予備調査 小学校1校 第一調査(主に満足度因子の抽出と原稿用紙との比 較に関する調査)小学校17校 中学校1校 第二調査(調査対象を拡大し、基礎的資料を作成 するための調査)小学校14校 中学校4校②調査対象学年 小学校3?6年 総計2151人 中学校1?3年 総計894人③調査時期 2014年10月?2014年12月④調査方法 用紙を郵送した上でのアンケート形式東京未来大学こども心理学部准教授 神部 秀一兵庫教育大学大学院博士後期課程  阪東 哲也早稲田大学文学学術院教授     森山 卓郎季刊理想 2015 秋号 ◆ 5