ブックタイトル季刊理想 Vol.117

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概要

季刊理想 Vol.117

4 ◆ 季刊理想 2015 秋号●シンポジウム●第3回 理想教育財団教育フォーラムプログラムⅠ 基調講演 「単元を貫く言語活動とはがき新聞」プログラムⅡ シンポジウム「言語活動の充実へむけて」「書く力」の充実は時代の要請 シンポジウムでは、はじめに司会を務めた森山先生から、「『国語力観』に関する全国調査」(国立国語研究所、平成18年)や全国学力状況調査などを基に、大人も子どもも「書く力」の充実が求められている実態に言及。そのためにもコンパクトにまとまった文章(コンパクトテクスト)を書くことが重要であると説明されるとともに、学習効果や子どもたちの満足度の実態についても、実際の調査結果を基に紹介されました。 続いて水戸部先生からは、はがき新聞を授業で効果的に活用するためには、学年ごとに求められる指導事項を明確に把握し、つけたい力を明確にすることが不可欠と説明。次いで、具体的に物語文を読み説く際の指導ポイントを基にしながら、はがき新聞を書く上で必要となる、紙面構成や記事構成の工夫点などについても、具体的な説明がありました。さまざまな実践報告 国際的に求められている学力の観点から、はがき新聞の有効性を紹介されたのが細川先生。まず、国際プロジェクトとして策定された21世紀型スキルの概念とその重要性について紹介。併せて、そうしたスキルを育てるために、学習環境デザインという考え方の必要性についても説明がありました。 さらに、はがき新聞がどのように学習環境に機能するか、学習環境デザインの構成要素である、「こと」「もの」「ひと」の3要素ごとに説明するとともに、はがき新聞を用いた実践例と具体的な学習成果についても紹介がありました。 德永先生からの報告は、全学年・図書委員会活動を通じて行っている本の紹介活動についてでした。まず、本を読むことで「思考力」を養い、作者の伝えたいことを考えることで、「判断力」を養成し、推薦の言葉をまとめることで「表現力」が身につくなど、取り組みのメリットを説明されるとともに、学年ごとの具体的な取り組み内容も紹介されました。さらに、作品と本をセットで展示することで、子どもたちの読書が促進されているとの説明もありました。 すべての子どもたちが授業の中で主体的に学習をデザインし、協働的に活躍するにはグループラーニングが効果的と考え、3人グループにおけるコンパクトライティング(コンパクトに書くこと)の取り組みを紹介されたのが達富先生です。 先生からはその単元でつけたい力を選び、発問による教科書作品の読解を行わず、新聞コラム(「折々のことば」「ひと」など)をモデルにして協働でコンパクトに書くことで、発問中心の授業では引き出せない、高いレベルの思考力と表現力の育成、学び合いができるとの実践報告がありました。フロアとの充実した質疑応答 シンポジウムを経て行われたのがフロアとの質疑応答。シンポジウム終了後、聴講者から質問票を受け付けたところ「グループ学習の効果とグループ編成について」「はがき新聞の評価方法について」「要約する際の分量の目安について」「子どもたちへの読書を促すための効果的な本の紹介方法について」など、数多くの質問が寄せられました。 各シンポジストからは、(グループ学習については)「発問について瞬時にこたえるよりもグループでじっくりと考える方が内容も深まり効果的」「話し合いはこんなふうにすすめるという話し合いの仕方のてびきを提示することも必要」、(はがき新聞の評価については)「指導の狙いに応じた評価が不可欠」「教師からの評価だけでなく、自己評価としての振り返りも重要」「友だち同士の評価も活発に行うべき」といった意見が出されました。達富 洋二先生德永 加代先生細川 太輔先生水戸部 修治先生森山 卓郎先生