ブックタイトル季刊理想 Vol.117

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概要

季刊理想 Vol.117

DO U MENT教育長に聞く村の復興のためには、学校再開が不可欠葛尾村教育委員会・猪狩 省造教育長 「学校再開がなければ、村の復興はない」。これが私たちの一貫した思いです。学校がない自治体は、遅かれ早かれ消滅せざるを得ないわけですから、何としても再スタートを切りたいと、保護者や村民と何度も話し合い、平成25年度の学校再開にこぎつけました。 再開に向けては、教育環境の整備に向けて、最大限努力しました。目玉の一つが、放課後の学習支援です。仮設住宅での生活を送る子どもたちの家庭学習環境を考慮して、中学校では、民間の学習塾と提携し、校内で村営塾を開講しているほか、小学校では村で雇用した方々の指導の下、宿題や運動、工作などの活動を行う「放課後子ども教室」(葛尾キッズクラブ)を展開しています。 また、双葉郡の教育長などと連携し、課題解決型のふるさと学習「ふるさと創造学」を展開、さらに教員を対象にした研修会なども開いています。 村では、平成29年4月、葛尾村での学校再開を目指し、現在、施設整備など準備を進めています。復興の大きな一歩とすべく、希望を持って、村での教育の受け皿づくりに尽力していきたいと考えています。なで育てていこうという意識を持っています」と話すほか、武口校長先生も「普段から小学校・中学校が連携していることで、当校では中1ギャップの問題を解消しています」とその利点を語ります。課題解決型のふるさと学習 大震災から4年が経過して、子どもたちに村の記憶が徐々に薄れてきていることもあり、両校とも双葉郡の小中学校のプロジェクトとして、「ふるさと創造学」を進めています。小学校では村で盛んだった作物を栽培したり、村の産業・伝統芸能を学ぶほか、中学校ではアクティブ・ラーニングを取り入れて、村の復興に向けた具体的なアイデアや方策を考え、スクールフェスタや、双葉郡の小中学生を集めた合同発表会の場で発表します。「アクティブ・ラーニングは私たち教員にとっても、まだなじみのない教育法ですから、試行錯誤の連続。子どもたちが主体的に取り組めるよう、教務主任をリーダーに据えて、指導の仕方なども研究しています」(武口校長先生) 最後に今後の抱負をお聞きすると、芳賀校長先生は、「子どもたちには、夢を持ってたくましく成長してほしい。キャリア教育の一環で、社会で活躍するプロの方を外部講師としてお招きする機会もありますが、その際にも講師の方々には必ず、ご自身が子どものころ描いていた『夢』について語っていただいています」と強調。続いて武口校長先生は、「村立小中学校は、平成29年春に葛尾村での学校再開を目指していますが、それに向けては保護者とのコミュニケーションが不可欠。今年の4月に就任後、早速、PTAの組織化にも取り組みましたが、教育委員会と連携して、十分に話し合いを進めていきたいと思います」と話しました。村を挙げて行う「村民運動会」。村民が一堂に会する貴重な機会書家の先生をお招きしての「書に親しむ会」の様子(葛尾小)18 ◆ 季刊理想 2015 秋号葛尾村立葛尾小学校・葛尾中学校舎