ブックタイトル季刊理想 Vol.117

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概要

季刊理想 Vol.117

“手書きはがき”作成活動に内在VOICE合い、言語表現の下で相互理解と知識や考え方の共有化が図られる。 さて、このようなことを考えていくと、“手書きはがき”という極めて限られた表現空間の中で、自己の思い、感情、主張等を表現することは、極めて高度な思考活動を要すると言える。 この作業は、むしろ低学年の子供たちに向いているのかもしれない。それは表現や主張の素朴性、自己の思いや感情の率直性にある。この素朴性、率直性が、圧縮された形で他人に伝達され、相互に共感を共通し合うのであろう。ある意味、俳句や和歌と共通する思考・表現活動である。 さらに、言語情報のみならず、絵・図が小さな空間の中に挿入され、言語情報と融合しながら、個性豊かな独特の意味空間を創り上げる。 このような活動経験が、子供たちの言語発達や表現能力育成にどのように作用しうるのかを追跡していくことも興味深いものである。 さらに、文字・言語空間と“一寸した”挿絵との融合(構成)の思考・表現スキーマは、子供たちの事物や意図の表現空間を射影しているのであろうと思うと、その作品自体から裏側に潜む彼、彼女ら第14 回の生活・思考空間も読み取ることの楽しさも生まれよう。 最後に、“手書き”はがきの手書き、しかも紙面的に制約のある世界での子供たちの思考活動について、何か科学的(脳科学等)な重要性を証明することができないのであろうかということを常に感じる次第である。はがき新聞などの「手づくりのはがき」は、表現空間が非常に限られている。その中で思いや主張を表現することは極めて高度な志向活動が要求されるだろう。このような活動経験が、子どもたちの言語発達や表現能力の育成に、どのように作用しうるのかを考え直してみたい。手書きはがきの思考活動子どもたちの「はがき新聞づくり」講習会12 ◆ 季刊理想 2015 秋号