学級通信なんでも相談室

第2回
学年・学級通信に何を書くか?

「学級通信を出したいけど、何を書いたらよいのか、よく分からない」という言葉を、若い先生方から聞くことがあります。前回に述べたように、「何のために」「どんなねらいで」通信を出すかによって、重点は変わってきますが、想定される内容としては、次のようなものが考えられるでしょう。

子どもの生の姿を書く・・・保護者に最も喜ばれるのは、自分たちが知らない我が子の学校での様子が生き生きと描かれている通信です。それも、一般的な「集団」としての姿でなく、「あの誰ちゃんが・・・」と名前と場面が目の前に浮かんでくるような具体性のある描写が望まれます。

学級生活で起きている問題を書く・・・学級の子どもたちが集団としてどういう生活をしているかも重要な情報です。そして、子どもの「実態」は肯定的なものばかりではありません。困ったこと・問題なことも日々起こってきます。「きれいごと」だけを書いたのでは、保護者の信頼を得ることはできません。要は「書き方」「取り上げ方」です。プラス思考で前向きに、「共に考える」「協力して解決を目指す」という姿勢で記述をしたいものです。

学校行事・学級行事を書く・・・行事を書く時に、気をつけなければならないのは、終わった後からの報告=「後追い記事」ばかりにならないようにすることです。これから行われる行事について、その意義やねらい、子どもたちが頑張っている姿、現時点での課題、見所など、その行事を盛り上げ成功に導くのに役立つ「キャンペーン」的な記事になるよう工夫したいものです。

学習を書く・・・・学年通信などにまま見られる「学習予定」をただ網羅するだけの欄は、はっきり言って通信の中で保護者には最も読まれない箇所と言えるのではないでしょうか。学習の中身、例えば現在最も力を注いでいる学習について、そのねらい・子どもの反応・エピソード・今後の課題・見通し・着地点などについて、同時進行的に様子を知らせていけば、面白い情報提供となるでしょう。

⑤子どもの作品を書く・・・これも、機械的に順番に載せたり、「埋草」的に使ったりしないことです。④で述べた学習との関連で掲載する、あるいは散発的に載せるとしても、例えば、子どもらしい新鮮な発想のあるもの、新しい発見や問題提起があるもの、ふだんあまり注目を浴びることのない子のものなど、通信に載せる意味のあるものを吟味していきたいものです。

⑥教育に対する考えを書く・・・子どもと教育を巡って、様々な問題が起きています。それらの諸問題について、学校・学年・学級担任としての、さらに教師個人としての考えの表明が求められる場面も増えています。出来る限り、教育のプロ集団としての論議を練り上げ、共通理解を求めつつ、自分なりの表現で、機に応じた発言をしていきましょう。くれぐれも「独りよがり」にならないように。

⑦自分自身を書く・・・保護者との連携を図るためには「開かれた学級」を築いていくことが不可欠です。そのためにも「自分を開く」ことが必要です。教育に対する自分の思い、子どもたちへの願い、教育的な理想や人生観など、飾らぬ自分を開示していくことも、不完全な人間同士としての共感を得ることに繋がるでしょう。常に「節度」が必要なことは言うまでもありませんが。

⑧保護者の声を書く・・・出来る限り「双方向性」のある通信でありたいものです。単なる「お世辞」ではない保護者の率直な感想や意見は、教育活動の評価・バロメーターであると共に、教師を育てる「肥料」でもあります。気軽に声を寄せられる雰囲気を醸成するのも、教師の力量であり通信の役割でもあります。

⑨いわゆる「お願い」の類いを書く・・・学級経営に保護者の協力は不可欠です。一方的・要求的・高圧的にならず、「そういうことなら・・・」と気持ちよく手を貸していただけるよう、謙虚に、時にユーモアを交えて伝えたいものです。

⑩教育情報を書く・・・新聞・雑誌には、連日のように新しい教育情報が掲載されています。その場限りのセンセーショナルな取り上げ方でなく、重要な教育問題を「共に考える」という立場で、その素材の一つとして、有益な教育情報を通信紙面で紹介することも必要です。