ブックタイトル季刊理想 Vol.129

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概要

季刊理想 Vol.129

20 ◆ 季刊理想 2018 秋号 東日本大震災被災地の学校に教育図書・教材を寄贈小さな私設図書館「夢見堂」が開館今年の4月、東京都町田市の住宅街にオープンした私設図書館 「夢見堂」。夏休み期間中には特別企画を行うなど、ユニークな試みも進めています。その活動内容をレポートします。社会の一員として教育に携わりたい  昨年3月、43年間にわたる教員生活を終えた、元高校教師の稲津惠子さん。「学校という恵まれた環境を離れても、社会の一員として生涯教育に携わりたい」との思いを、今年の4月、私設図書館(「夢見堂」)の開館という形で実現させました。  自宅のサンルームを改装した、10畳ほどの館内には、絵本から古典の書物まで、約2000冊が並びます。「人が人らしく生きるためにも、活字は不可欠。子どもたちが豊かな言葉の世界を形作るお手伝いをしたい」と稲津さんは話します。「デジタル」よりも「アナログ」を!  あえて学童保育や塾などの形式はとらず、子どもたちが「(開館時)気が向いたときにふらっと立ち寄れる」自由さを重視したという稲津さんですが、当初から一つの厳格な約束事を設けています。それは「館内ではデジタル機器を使用してはいけない」というものです。「今の子どもたちは大変多忙ですが、そんな子どもたちが自分を取り戻す居場所として夢見堂を利用してもらいたい、との思いがあります。木の温もりがあふれる空間で、実際に本に触れたり、友だち同士でおしゃべりをしたりする。ここではそういう『アナログ』の良さを思いきり実感してもらいたいのです」(稲津さん)たくさんの保育園の園児も訪れたニュースパークで見学する子どもたち「夢見堂」を立ち上げた稲津惠子さん特別企画も実施  教員時代、長年NIE活動を進めてきた稲津さん。夏休み期間中の7月29日には、初の特別お出掛け企画「親子で行こう、ニュースパーク(日本新聞博物館)」を開催しました。参加した子どもの数は小学校1年生から中学2年生までの14人(保護者も8人参加)。大型輪転機など、館内の展示物を見学した後、実際に編集ソフトを用いて、オリジナルの新聞制作も体験しました。  初めての館外企画の成功に手応えを感じた稲津さんは「秋には寺子屋のような形で、子どもたちの国語の力を伸ばす取り組みも始めたい」と話すなど、新しい企画も温めています。生まれたばかりの小さな図書館・夢見堂の今後の動向に地域から期待が寄せられています。