ブックタイトル季刊理想 Vol.129

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概要

季刊理想 Vol.129

季刊理想 2018秋号 ◆ 1718 はがき新聞活用レポート● 昭和58年4月に開校し、現在約490名が学ぶ市川市立大和田小学校。「『夢の実現へ めあてをもって学ぶ子』を育成する」を学校教育目標に掲げ、充実した教育活動を展開しています。今号は、同校の富永加代子先生の実践を中心に、大和田小学校のはがき新聞の取り組みをご紹介します。はがき新聞はどんな教科でも使えるツール はがき新聞を実践する利点として「短時間で作成できる手軽さ」を挙げる先生は少なくありませんが、そのメリットを存分に生かしながら、効果的な取り組みを進めているのが、市川市立大和田小学校の富永加代子先生です。授業のまとめなど、普段から日常的にはがき新聞を活用し、年間作成枚数が150枚を数えた年もあります。 富永先生がはがき新聞を活用するようになったのは、2015年1月に開催された「第2回理想教育財団教育フォーラム」への参加がきっかけです。自己紹介や行事のまとめなどに限らず、幅広い用途に活用できることを、さまざまな事例紹介から知った富永先生は、自身でも積極的に活用しようと取り組みを始めます。生かした、メリハリの利いた作品が出来上がります。「A4判の作品を一からつくろうとすれば、とても時間が掛かりますが、書き慣れているはがき新聞を組み合わせることで、作成時間をぐっと減らせるので利便性が高い。また、複数の要素を1枚に盛り込むことで、出来上ったときの達成感も大きい。それが子どもたちの意欲を高めます」(富永先生)書く力も劇的に向上 はがき新聞の「手軽さ」を生かして、授業に効果的に取り入れた一方で、どのような有効性が確認できているのか。同校の青山了司校長先生は「学んだことや体験したことを、決められた字数で文章にまとめることは極めて大事なこと。はがき新聞はそのための有効なツールの一つ」と話します。 また、富永先生も子どもたちの「書く力」が確実についたと実感しています。「特に成長したのは書くスピード。以前は400文字を書くのに30分は掛かっていましたが、はがき新聞に取り組むうちに、10分で書けるようになりました。実践を重ねる中で、考えや意見をまとめる力が身に付いた成果です」 さらに、富永先生は子どもたちの自己肯定感の向上にもつながったと話します。「完成した作品は必あらゆる教科・領域で活用できるのが一番の強み自己肯定感の向上など、さまざまな効果を確認千葉県市川市立大和田小学校富永 加代子先生「教育フォーラムで学んだことは、はがき新聞はどんな教科でも使える教育ツールだということでした。以来、活用の仕方を自ら模索・工夫するようになりました」(富永先生)複数のはがき新聞を組み合わせる その言葉通り、富永先生の取り組みは、活用の範囲が極めて広いところに特徴があります。国語や社会科だけでなく、算数をはじめ、文章にまとめづらい教科・領域でも実践を繰り返しています。「例えば算数だったら、テーマに沿って、問題を解く方法を、図形や式などを用いながら、具体的に文章化する。関心、知識、技能、思考などが作品によく表れるので、評価がしやすいのもポイントです。他方、社会科であれば、自分の伝えたい『事実』と『考え(感想)』をはっきりと分けて書くことをテーマにしています。この手法を身に付けることで、話し合い活動も円滑に進められるようになりました」(富永先生) もう一つ、富永先生の実践で特徴的なのは、子どもたちがつくる作品の質が極めて高いこと。複数のはがき新聞を組み合わせてA4判の新聞を作成する、新たな手法も確立し、子どもたちの総合力を28